はじめに

新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019: COVID-19)は2020年3月以降、東京都で急速に感染者数を増加させています。こうした未知のウイルス感染症は、診断・治療法が確立しておらず、特殊災害(chemical, biological, radiological, nuclear, high-yield explosives: CBRNE: シーバーン災害)に分類されます。

直接危険を知覚できないシーバーン災害は、地震や台風などの従来の災害と比べ、大きな社会的混乱を引き起こすことが知られています。またシーバーン災害に立ち向かう多くの人々のメンタルヘルスの問題を引き起こす可能性があります。

本ガイドは、COVID-19の治療に携わるすべての教職員に対し、心理的負担に起因する問題の理解・対処法のヒントを記載したものです。皆さんのセルフケアのヒントにしていただき、それでも解決ができないときは、精神保健の専門家窓口(「COVID-19 メンタルヘルス支援窓口」)へ助けを求めてください。

パンデミック下で起こる医療従事者の心身の変化

パンデミックのような特殊な環境下では、人間は意識・無意識にかかわらず、持続的な緊張状態にあります。医療従事者も例外ではありません。こうした持続的な緊張感が様々な心身の変化を引き起こします。重要な事は、こうした変化は誰にでも起こりうるということです。

心身のストレス反応

強いストレス下にさらされることで①気分、②ものの考え方(認知)、③身体、に変化が生じます。こうした現象を「ストレス反応」と呼びます。個人差はありますが、すべての方に生じうる現象です。持続することで④身体疾患を発症することもあります。

  1. 気分:イライラ、不安、悲しさ、不眠など。
  2. 認知:同僚のミスに寛容になれない・責任を追及する、侮辱する、排他的になるなど。
  3. 自律神経症状:原因不明の頭痛、めまい、口喝、立ち眩み、動悸、呼吸苦、疼痛やしびれ、食欲低下など。
  4. 身体疾患:高血圧、胃潰瘍、感音性難聴など。

不適切な代償行動(発散)

健常人では「ストレス反応」を避けるために、「代償行動」つまりストレス発散を行い、バランスをとっています。しかし、パンデミックのような強いストレス下では、身体的に負担のかかりやすい代償行動をとることがあります。

  1. 食事:菓子類のドカ食いなど
  2. 嗜好品(アルコール、たばこ)の乱用
  3. 金銭の浪費

精神疾患の発症

「ストレス反応」「不適切な代償行動」はあなたの内なる危険信号です。こうした症状があればすぐに行動を起こしましょう。仕事の内容の見直しが重要ですが、ストレスに応じた対処行動のヒントを次章に示しました。こうした危険信号をそのままにしておくと、うつ病などの精神疾患の発症の契機になることがあります。

資料(日本赤十字社様)

  1. 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイド」
  2. 「COVID-19対応者のためのストレスチェックリスト」

心の健康スクリーニング

下記のスクリーニング検査で一つでも「~の可能性があります」「~の傾向があります」と判定されたときは、印刷ボタンを押して結果をプリントアウトしていただき、「COVID-19 メンタルヘルス支援窓口」にご相談ください。

うつについて

(1)ここ2週間、次のような問題にどのくらい頻繁に悩まされていますか?
(あてはまる番号をチェックしてください。)

(2)上の1~2の問題によって、仕事をしたり、家事をしたり、他の人と仲くやっていくことがどのくらい困難になっていますか?
あてはまると思う困難さの程度をひとつ選びチェックしてください。

心の傷について

COVID-19の治療でひどく怖かったり恐ろしかったり気が動転するような経験をしたために、最近1ヶ月間、以下のようなことがありましたか?

不安について

過去30日の間にどれくらいの頻度で次のようなことがありましたか

身体不調について

最近1週間を通して、以下の体の問題について、どの程度悩まされていますか?

お酒について

次の設問にお答えください

年齢・性別

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